昨日の敵は今日の友(三国志3・吉川英治)

読書

★★★★☆

私が読んでいる講談社版は、新潮社の版権切れで出版可能にれなったものであると、3巻で気が付いた。道理でAmazonで最初にヒットする新潮社版のレビューとストーリーが異なるわけだ。
新潮社版は全8巻、講談社版は全10巻。
講談社版の3巻では、呂布はまだまだ健在である。

<孫策が成長して勢力を拡大>
袁術の元に身を寄せていた孫策が、玉璽を袁術に預ける代わりに兵馬を借りて独立を目指す。
勢力を拡大した後、兵馬は倍以上にして返すゆえ玉璽の返却を求めるも、袁術は応じなかったため、孫策は袁術から離れることとなる。
玉璽の価値を非常に高く認められているのが不思議でもある。 己以外の人権を何とも思っていない人間でも玉璽の効力には抗えないらしい。

<呂布が娘の婚姻に煩悶>
呂布が勢力維持拡大のために自分の娘を袁術の息子と政略結婚させようとする。呂布の妻が、袁術はやがて皇帝になるのだからと婚姻を進めようとするのが浅ましい。しかし、呂布はまだ娘の幼さに迷い婚姻を破棄する(現時点では)。この揺れ動く心情は、貂蝉に焦がれた呂布の面影がある。

<張飛の馬泥棒>
劉備が徐州を呂布に与え、小沛に留まることを心良く思っていない張飛は、呂布が調達した馬を盗む。呂布からすれば、劉備一派は許せないことである。これを機に劉備たちは小沛を落ちで曹操のところに身を寄せる。これはどう考えても劉備側に非がある。

<劉備をもてなすための料理>
落ち延びる劉備たちをもてなすために猟師の劉案が提供した肉は、妻の肉だったという。吉川英治氏も自分のコメントを差し挟み、当時の中国における習俗を解説しているが、現代の日本人には理解しがたい挙動である。

「昨日の敵は今日の友」が多すぎて、どの人間がどの陣営にいるのか把握しづらくなってきた。

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