孔明の知謀が冴える赤壁の戦い(三国志5・吉川英治)

読書

★★★★☆

孔明の軍師としての知謀が外交面・戦闘面で存分に発揮される様が繰り広げられる。曹操が逃げ延びる先に待ち構えた策が次々に功を奏する。

最後に関羽が曹操を逃してしまうのがもったいない。一時、曹操の庇護下にあったため、逃走でボロボロになった関羽の捨て身の訴えを聞き入れ、見逃してしまう。赤壁の戦いで良いところは張飛や趙雲に持っていかれ、ひたすら留守係だった関羽が、必ず曹操を捕えると誓約まで立てて望んだ戦だったのに。自陣に戻って素直にゴメンナサイするのは潔いのだけれど。

それを見越していた孔明はさすがだけれど、ここで関羽が誓い通りに曹操を討ち取っていれば勢力は一変しただろうにと思う。

周瑜がどんどん理性的判断を失っていく。孫策から孫権を助けるよう託された頃は良い働きをしてきたはずなのに、孔明の知謀を恐れるあまりに策に溺れていく。呉や孫権のためを思ってのことなのだが、残念としか言いようがない。

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