★★★☆☆
「白銀ジャック」「疾風ロンド」に続く雪山シリーズ3作目。前2作も軽めだったが、さらに軽く読める作品。
紹介文に「ノンストップ・ミステリー」「ノンストップ・サスペンス」とあるが、残念ながらそのような感覚は少なめなので、期待して読むとガッカリするだろう。
女神の正体は納得感に乏しく、真犯人は降って湧いたよう。
しかし、東野氏がスノーボードやスキーをこよなく愛していて、経営が厳しいスキー場・周辺施設を応援したいのだということが伝わってくる。その気持ちには非常に共感する。
趣味でスキーをする者として、スキー場の所有者が事業再生系のファンドへ転々とするのを見てきているし、宿泊施設の方が年々客が減っているとこぼすのも聞いている。特にここ数年の暖冬による雪不足は関係者にとって深刻な状況だったと思う。大晦日直前までオープンできるかやきもきしたスキー場は少なくない。
そうした厳しい経営環境のスキー場関連経営者にとって、東野氏の生き生きしたウインタースポーツ描写によって関心を持つ人が増えるのであれば喜ばしいことだろう。
作品で興味を惹かれても行動に至るには大きな壁があるのは承知だが、ウインタースポーツ人気の一つになれば良い。
作品中の滑走に関する描写は読んでいて気持ちが良く、滑りたくてうずうずしてくる。パウダーを攻めたくなる既存スキーヤーやスノーボーダーはいるはずだ。
作中でも触れられているがスキー場には管理区域外と立入禁止区域がある。安易にコース外を滑走するスキーヤー、ボーダーによってパトロール員の仕事が増えるなどスキー場の負担が増えてしまうことは懸念される。
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